集団生活で何を学ぶか?何を得るか?
保育園での生活は子どもにとって初めての集団生活になることが多いです。
親も子どもがきちんと集団に馴染めるのか不安になります。
保育士だって、子どもたちにきちんと集団行動を身につけさせてあげることができるのか不安になります。
親の立場でも保育士の立場でも、集団生活というものに「不安」という感情がつきまとうのは、集団生活の目標が「みんなと同じようにきちんとできる」だと思っているからだと思います。みなさんそうではないでしょうか?
そこで私は集団生活での目標を「自分にできる集団生活の方法を考えられる」にしてみました。
集団生活では1人だけでは気づけない自分の個性に気づくことができます。それが集団生活の1番の強みだと思うのです。
周りと比べることで"自分"がどんな人間か知っていくのです。
子どもが自分を知った上で、自分でもできるやりかたで集団の中での生活方法を確立していくこと。保育士はその手助けをしてあげること。
これに尽きるのかなと最近は思います。無理にみんなと同じにこだわる必要はないし、みんなを揃えられるのが優秀な保育士というわけでもないと思うのです。
極論ですが、色々知った結果、集団生活は無理だ!となることもあるでしょう。
そうしたら集団行動を求められないところで楽しく生きてく方法を探せばいいだけです。
それくらいの気持ちで集団を捉えると気が楽です。
集団生活が苦手な子ってどんな子?!
集団生活で和を乱しやすい子には、次のような特徴があることが多いです。
・こだわりが強い
・好奇心旺盛
・周りの目を気にしない
・メンタルが強い
・行動力がある
・(好きなことに対して)集中力がある
こうやって見るといいことばかりではないですか?
集団生活で和を乱す子って個人的には才能豊かな子が多い印象です。
要するにやりたいことをやりたい!やりたくないことはやりたくない!怒られたって気にしないって考えですよね。別の面からみたら誰もが憧れる才能なんですよ。それを忘れないようにしないようにしないといけません。
集団行動が上手くできない子への対応
集団行動が苦手、切り替えが苦手…
そんな子には活動が始まる前に声かけをして、次の活動の内容をわかりやすく伝えるという準備段階を設けます。
いきなり完璧な集団行動を目指さずにスモールステップで集団に慣れつつ自分のことを理解してもらうための最初のステップとして次のことを伝えます。
①好きなとこだけ参加するのもOK
一斉活動において走りまわってしまうような子は、興味さえ持てれば誰よりも集中して座っていることができたりします。
ですが、一斉活動の中で終始1人の好みには合わせられないですよね。
なので「やりたくなったらいつでも来てね。待ってるよ。」という途中参加制度を採用します。
この途中参加を認めない保育士は意外と多いのです。
「やらないって言ったんだからもうやらなくていい!好きなことだけやるなんてわがまま!」みたいなことをよく言っています。
私は自分から参加してほしいと思っているので、最初は好きなことだけ参加でもOKという気持ちです。途中参加の子にも「嬉しい!待ってたよ!」と言ってしまいます。参加したら喜ばれるんだという気持ちも大切ですよね。
②自分の気持ちを優先していい。でも周りの状況も考える。
どうしてもみんなと同じことをしたくないときの過ごし方も伝えていく必要があります。私は「やりたくないならやらなくてもいいです。そのあいだ何をして過ごしたいですか?」とよく聞きます。無理にやらせません。
受け入れられない答え(他の子の活動を妨げるようなこと)を言ったら、「他の子がお話を聞けなくなるからそれは無理です。静かにできることであなたのやりたいことはありますか?」と聞くと子どもは考えてくれます。やりたいことには全力な性格を活かします。
「みんなと同じことはどうしてもできない。でも周りの邪魔はしない。その中で自分のやりたいことをやる。」という中間地点を作ってあげることがとても重要だと思います。
集団での活動に意欲的な子への配慮
私が集団行動が苦手な子に対して途中参加をOKにしたり、無理に参加をさせないのには集団行動を楽しんでいる子のためでもあります。
きちんと時計を見て「もうすぐ始まる」と楽しみにして、準備を整えて待っていてくれる子もいます。そんな子たちを待たせずに、楽しい雰囲気の中で活動したいのです。
楽しみに活動を待ってくれている子にとっても、活動に参加しない子を保育士がしつこく怒っている時間は無駄で苦痛に感じる時間ですよね。活動そのものが嫌いになりかねません。
集団での活動に意欲的な子、ある程度我慢ができるような子に保育士は甘えがちです。
とくに私はそうかもしれません。反省です。
ついつい手のかかる子に注目してしまいますが、こういう子たちへの配慮こそ最も重要なのかもしれないと最近よく感じてます。
まとめ:集団生活×保育園=自分を知り、他人を知り、多様性を知る
集団生活では周りのことを考えたり、空気を読んだりする力が求められます。
それにはまず子ども自身が自分を知り、自分の気持ちを大切にすること。保育士としてその援助をしてあげること。
自分の気持ちが大切にされた子は、周りの子の気持ちを大切にできます。自分に強い欲求がある子ほど、周りの子にも自分と同じように「強く何かをやりたい気持ちがある」ということに気づけるし、それは必ずしも自分と同じではないと気づけます。
保育園時代の集団生活は始まりにすぎません。
自分の欲求を大切にしながら向き合う方法を考えること、色んな考えを持つ人がいると知ることが集団生活の基礎です。しっかりした基礎を作って、保育園以降の集団生活へと良いバトンを渡したいものです。