食事中の適度な会話は、食事の時間をより楽しくしてくれるスパイスになりますよね。
ですが、子どもの場合は食事の時間だか、おしゃべりの時間だかわからなくなるくらいおしゃべりに夢中になってしまうことも少なくありません。
そして肝心の食事が全く進んでいない...
「子どもに食事の時間を楽しんでほしい気持ちもあるけど、ご飯をしっかり食べてほしい。」
そんな悩みを持つ保育士やお父さん、お母さんに向けて、私が保育園や家で見てきたことを元に一つの考え方をご紹介していきたいと思います。
- 子どもがご飯を食べずにおしゃべりばかりしてしまうのはなぜか?
- おしゃべりは禁止にするべきなのか?
- ご飯を食べてほしい!おしゃべり禁止以外にできること
- 伝えるべき食事中の会話の注意点
- まとめ:「おしゃべりのしすぎ=食事が進まない原因」とは言い切れない。
子どもがご飯を食べずにおしゃべりばかりしてしまうのはなぜか?
保育園ではお友達同士で食事をするのでおしゃべりがヒートアップしやすいです。
私は保育園で3〜5歳の様々な子の食事風景を見てきて思いました。
同じようにしゃべっていてもしっかり食べている子が案外いるんだなと...
食べたい欲求もしゃべりたい欲求も強い子は、しっかり食べつつしゃべってます!
つまり、しゃべってるだけで食事が進まない子は、食べたい欲求が少ないということです。
大人は、子どもがおしゃべりばかりしてるからご飯を食べないと考えがちです。
でも本当はそうではなくて、
元々あまり食べられないから、おしゃべりばかりしているという可能性もあるのです。
おしゃべりばかりしていて食事が進まない子の特徴は3つあります。
・小食
・偏食
・食べるスピードがゆっくり
どちらかというとあまり食べることが得意ではない子が多いです。
結局は食事よりおしゃべりのほうが興味が強いわけです。だから食べないのです。
(我が家の次男もこのタイプ!!)
私が考えるおしゃべり欲と食欲の関係を簡単に図にするとこんな感じです。
①タイプ:箸を置きっぱなしでおしゃべりに夢中になりやすい。
②タイプ:ずっとしゃべってると思いきや、いつの間にか食べ終わっている。
③タイプ:食事中にやたらトイレに行きがち、食べ物で遊びがち、ぼーっとしがち。
④タイプ:食べるの大好き!食べることに全集中。食べ終わるとしゃべりだす。
あなたが気になるお子さんはどのタイプですか?
おしゃべりは禁止にするべきなのか?
私が以前働いていた保育園では、
園長先生の方針で「食事中には一切おしゃべりをしないこと」と子どもたちに指導していました。
そのため園長先生がいるとき、子どもたちは静まりかえって食事をします。
一言でもしゃべったら「なんでおしゃべり声が聞こえるの?」と怒られるからです。
その分、園長がいないときはすごいしゃべってましたよ。
それはそれでダメな状態だったのですが、どっちの状況でもたいして食事量に変化はありませんでした。
おしゃべりがない分、食事にすごく集中しているかといえばそうでもなく、緊張しながら園長の顔色を伺ってチビチビ食べる子、(食べられないから)暇すぎて食べ物で遊んでいる子、つまらなさそうに食べてる子も多いのです。
ところがですよ、
保育園でも家庭でも「子どもが食事中におしゃべりするのをやめさせたい」と考えている大人というのは、マナーうんぬんより「子どもに早くたくさんご飯を食べてほしい、おしゃべりのせいでご飯に集中できていない」という思いからおしゃべりを悪としている人が多いと思うのです。
それは少し違うかもよ!ということを、私は今回伝えたかったのです。
問題なのはそもそも食べたい欲があまりないこと、おしゃべりの量が多すぎることの2つです!
そのため、おしゃべりを一切禁止とするのではなく、この2つの問題を解決できるようにしていくべきなのです。
ご飯を食べてほしい!おしゃべり禁止以外にできること
おしゃべりしなければ、モリモリ食べられそうなのかどうか?注意する前に一度考えてみてください。
おしゃべりさえしなければこの子は全部食べられる!という子も中にはいると思います。
食欲もおしゃべり欲もあるけどとにかく食べるのが遅い子が当てはまりやすいですね。
こういう子は食事の前に個別にごちそうさまの時間やおしゃべりしすぎストップの声かけをしておきます。
そして、食事中も様子を見ながら時間を意識できるように声かけします。
おしゃべりし過ぎで食べたい量を食べられなかった場合でも、決められたごちそうさまの時間は守ってもらいます。
泣いて「食べたい」とお願いされても終わりは終わりです。
怒ってしゃべるのを禁止にすれば全て食べられるのかもしれませんが、それでは食事が嫌なものになってしまいます。
自分の食べるスピードとしゃべる量、食事時間の関係性を日々の食事で子ども自身が理解していくほうが良いと思います。大人はその都度声かけしながら長い目で子どもに付き合いましょう。
問題はおしゃべりをやめたところでそこまで食べる量に変化がなさそうな子の場合です。
このような場合はおしゃべりより先に他の配慮をするべきです。
私が保育園でよくやるのは「目標を小さくする」ということです。
子どもが食べられそうな物、量を別に避け、そこだけ食べればOKとします。
家庭なら最初から盛り付けを少量にすれば良いのです。
この少量が今のその子にとってしゃべらずに集中して食べられる量であり、しゃべりながら楽しく食べられる量なのです。
確かに他の子に比べれば食べる量は少ないでしょう。
ですが、突然何でもたくさん食べられるようにはなりません。
小食、偏食なことを受け入れて、こちらも長い目で見て付き合っていきましょう。
少しずつ食べられるものが増えたらいいなくらいのゆるい気持ちで多少のおしゃべりは許容範囲と見なし、食事の時間を楽しくできるようにしてみて下さい。
目標量を食べ終えたら自由にごちそうさまができるシステムだとより良いですよね。
みんな揃ってごちそうさまをするのは個人的には反対です。
食事が終わった子は決められたごちそうさまの時間まで待つことなく、さっさとごちそうさまができたほうが「おしゃべりしすぎ状態」や「つまらなくて食べ物で遊んでしまう状態」を防ぐことができるからです。
伝えるべき食事中の会話の注意点
マナーという点で食事中の会話は一切なしと考えている人もいるかと思います。
食べる量の問題ではなく、マナーとして会話が相応しくないと考えるのであればそれはそれでありだと思います。
私は食事中の会話はOK派ですが、その中でも守るべきだと思っていることは3つあります。
・口の中に食べ物が入っているときはしゃべらない。
・食事中にふさわしくない汚い話は控える。
・大声や叫び声は出さない。
どれも周りの人が不快な思いをするからです。
「楽しい」も度を超えると「不快」になるということは伝えていく必要はあるでしょう。
まとめ:「おしゃべりのしすぎ=食事が進まない原因」とは言い切れない。
おしゃべりばかりでご飯を食べないのではなく、ご飯が食べられない、もしくは食べたくないからおしゃべりばかりしてしている可能性もあります。
そんなときは食事量や食事内容、子どもの空腹具合など様々な視点から食事が進まない理由を考えてみてくださいね。
おしゃべりのし過ぎが原因でなかなかご飯が食べ終わらないという場合は、食事終了の時間を決め、その時間を意識できるように食事前から声かけをしてみましょう!
「食事中はおしゃべり禁止!」と厳しくしつけても、食事時間がつまらなくなるだけであまり食事のお悩みが解決しないことが多いです。
それならば、食事中の会話のマナーを伝えていきつつ、おしゃべりを楽しみながら食事をして「食事=いいもの」というプラスのイメージを子どもたちが持てるようにしていきたいものです。